犬の腎臓の働きと「腎不全」 | 犬が腎臓病と言われたら?

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犬の尿検査で異常を指摘され、驚く飼い主さんは多くいらっしゃいます。犬の腎臓疾患の代表は「腎不全」。急性と慢性があります。

実は「慢性腎不全」は高齢の動物には多く見られる身近な病気でもあります。そのため、もし検査で腎不全の可能性を指摘されても、慌てずに対応することが大切です。

腎臓は一度機能低下が起こると、治療しても元に戻ることが難しい臓器です。早期対応が重要で、悪化を防ぐことが治療の目的となります。

この記事では「犬が腎臓病です」と言われた飼い主さんが、まずは「腎臓とはどのような臓器か?」を正しく理解できるよう、解説していきます。落ち着いて犬と病気を向きあうための基礎知識を、この記事によって身につけていただければ幸いです。

犬の腎臓 | その働き

腎臓は血液を濾過し、不要物とそうでないものを選り分ける「フィルター」として機能します。それには大まかに、以下の2つの働きがあります。

  • 老廃物を体外へ捨てる
  • 体液の濃度を一定に保つ

老廃物を体外へ捨てる

老廃物の代表は「尿素」です。「尿素」はタンパク質が体内で代謝された最終形です(タンパク質はアンモニアに分解され、肝臓で無毒の尿素に作り替えられます。詳しくは肝臓の記事を参照してください)。

尿素は腎臓から尿として排出されます。

体液の濃度を一定に保つ

腎臓は余分な水分塩分を体外に排泄する役割も担っています。これにより、犬の体液濃度は一定に保たれています。

体液の濃度が一定に保たれ、安定していることは生命を維持する上で重要です。

腎臓が障害を受けて困ること

腎臓は体の中の老廃物を排泄する「フィルター」の役割をしていることはすでに述べました。ではもし、この「フィルター」が機能低下してしまったらどうなるでしょうか?本来であれば体の外に排泄されるべき老廃物が体内に蓄積していきます。

このような腎臓の機能低下状態を「腎不全」と呼びます。

腎不全には「急性腎不全」と「慢性腎不全」があります。

急性腎不全

急性」と言う名前の通り、数時間から数日という短期間に、腎臓の機能が低下することを指します。原因は様々ですが、腎毒性物質の摂取で起こる場合があります。

車の不凍液に使用される「エチレングリコール」は、犬の誤食による急性腎不全の原因の代表です。またはある種の抗菌薬(セファロスポリンなど)。飼い主が服用する薬を犬の口が届く場所に置き、その誤食事故から急性腎不全を起こす場合もあります

これ以外にも、感染症など他の疾患が原因となり、急性腎不全が引き起こされる場合があります。

慢性腎不全

腎臓の働きが徐々に低下した状態を指します。高齢の動物に多く見られます。

慢性腎不全は基本的に、症状は徐々に悪化します。そのためできるだけ腎臓への負担を減らし、長く良い状態を保つことが治療の目的となります。

慢性腎不全だが食欲もあり、元気にしている場合は「食餌療法」が選択されます。腎臓に負担のかからないよう、栄養素を調整した療法食がペットフードメーカー各社より販売されています。食事の選択については担当獣医師とよく相談の上、決めることが大切です。

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