犬の心臓について基本事項をこの記事では解説します。犬も心臓の病気を患うことがあります。老犬期に入った小型犬に多い心臓病、「僧帽弁閉鎖不全症」についても取り上げます。
犬の心臓の働き
心臓は血液を全身に送るポンプの役目をしています。心臓の内部は4つの部屋に分かれています。この心臓内部では血液の流れる方向が決まっています。その流れを順に追うと以下のようになります。
1:全身で使われた血液が「右心房」に入る
2:「右心房」に入った血液は「右心室」へ流れ込む
3:血液は「右心室」から「肺動脈」を通って「肺」へ運ばれる
肺に運ばれた血液は、そこで「ガス交換」が行われます。全身を巡って酸素を使い、二酸化炭素を多く含んだ血液は「肺」で酸素をたっぷり含まされます。
酸素を含んだ血液を、心臓のポンプの力を使って再び全身に巡らせる必要があります。その流れは以下の通りです。
1:酸素を含んだ血液が「肺静脈」を通って「左心房」へ送られる
2:さらに血液は「左心房」から「左心室」へ送られる。
*左心房と左心室との間にあるのが「僧帽弁」
3:「左心室」から「大動脈」を通り、血液は全身に送られる
僧帽弁閉鎖不全症
犬の心臓病の中で、75%〜85%を占めると言われるのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。この病気には以下のような特徴があります。
- 老齢の小型犬に多い
- キャバリア、マルチーズは遺伝的要因により発症率が高い
キャバリアは3〜4歳で約50%、マルチーズは7〜8歳で70〜80%が発症すると言う報告もあります。
僧帽弁とは「左心房」→「左心室」の間をつなぐ「弁」のこと。カトリックで用いられる「司教冠」に形が似ていることから、この名前が付けられました。
この弁は血液の逆流を防ぐ役割をになっています。そのため、この機能に不具合が起きると、心臓内で血液が逆流します。
症状
初期の頃には症状は現れません。病気が進行すると、様々な症状が現れます。
- 呼吸困難
- 喉にものがつかえたような咳
- 運動の途中で座り込む、散歩を嫌がる
どう対応したらいい?
基本的に治る病気ではないため、早期発見が大切です。薬により、病気の進行をある程度抑えることは可能です。それにより、体調の良い状態で長く過ごすこともできます。
特に、遺伝的に「僧帽弁閉鎖不全症」を発症しやすいとされる犬種の飼い主さんは、動物病院で心臓の定期チェックを受けるのがおすすめです。